ただ、ひたすらに心が苦しくなる映画です。
でも、義務教育にしたいと思えるくらい、全員が見るべき映画だと思いました。
母・キヨと同居している葉波直子の元、長年蒸発していた父・栄治が帰宅してくる。突然の父の帰宅に困惑する娘の直子だったが、母の迎えいれたい要望を聞き、同居するようになる。10年ほど経ったある日。キヨが認知症を患う中、栄治の持病の悪化により仕事が出来なくなり、一家は生活保護の申請を考え始める。娘の直子が生活保護を申請するため市役所に出向き、ケースワーカー・宗村とのやり取りを重ねて申請作業を進めていく。母が重度の認知症であり父も病気の悪化により仕事が出来ない状態で預貯金もほとんどない状態の一家は生活保護を受けるには十分な資格があった。宗村の親切な対応により生活保護申請はスムーズに進められていき、葉波家の訪問審査を受けて生活保護の受託はほぼ決まった。訪問審査を無事終えた夜。栄治は直子にある一言を告げた……。
https://snowdrop-film.com/#works
と、いうわけで生活保護受けようとする一家と、そのケースワーカーさんの一部始終と言えばいいんですかね、の映画です。
日本では、生活保護を受ける事は恥ずかしいだとか、みっともないだとか、税金で遊んで暮らしているだとか、ずるだとか
一般的にはそんなイメージがあると思います。
この映画を見ても、本当にそんなことが言えるのか。
すべての人間が生きることや仕事をすること、お金を稼ぐことが正しいのか。
様々な方向からいろいろなことを考えさせられる映画だなぁと思います。
ちょうど、愚か者の身分が話題になっていて、中高生に見てほしいだとか、義務教育にすべきだとか、そういった意見があると思いますが、
この映画も等しく義務教育にすべきなのではないかなと思います。
前日に寝れなくて、朝イチ上映だったから、翼を授かったのもあるかもしれないけど、スノードロップを見てから、虚無になってしまったというか、余韻がすごいというか、スペースがあるのに何も詰め込めないというか、言語化が難しく、劇場を出て、入り口でぼーっと立ち尽くして、ぼーっと帰宅して、無気力に玄関で寝転がって、ただただ涙をこらえて、映画を見終わってから 6時間ぐらいは経っていると思うけど、やっと、音声入力でこの記事を書いているところです。
ネタバレ感想については、またポエムみたいな感じになってしまいそうなのを頑張ってこらえて書きたいと思います。
子供の頃から片親で、あまり良い暮らしとは言えない状況の中、大人になって日々を過ごしていたら、突然、蒸発していた父親が帰ってくる。
母親が要介護になり、仕事を辞めて介護生活を送る主人公、それを新聞配達で支える父親。
最初見ていた時は、会話も少ないし、正直父親がまたいなくなるんじゃないか…とかって思っていましたが、作中では母親(一応配偶者にあたるのかはわからないけど、配偶者)を気にしていたりだとか、娘である主人公を気にかけるような言動があったりだとか、があって、そこまで見放される主人公ではなくてよかったと少し安堵しました。
父親も、病状が悪化する前に病院に行けてればよかったのかもしれないけど、お金がないから受診ができない、できないわけじゃないけど、してるほど余裕がない。
お金がないという事は、本当に苦しくて、情報が受動的に手に入らないというのは、本当に悲しくて。
お金がないから鬱なんだけど、お金がないから病院に行くことすらできないのは過去の自分を見ているようでした。
あのとき自立支援のこと知ってたらもっと今も生きやすかったのかなぁ。なんて。
とても几帳面で真面目な主人公。
なのに、人間関係での会話というか、挨拶というか、コミュニケーションというか、なんだかぎこちなかったり、なんか違和感が私はあった。
はじめての書類なのに、持ち帰りでミスなく書ききったり、ケースワーカーさんも気づこうと思えば、気づけなくもないんじゃないか、と私は感じてしまったけど、映画だからそう思うのか、私が気にしすぎるからなのか、自分がそうだからなのか、ちょっとだけ主人公が社会に馴染めてない感が微妙に出ているんですよ。
あれは意図的に出しているんだろうか。
でも、それって最初に会社でうまく馴染めてないような描写があったからこそ、予測できてしまったのか、分からない。
ケースワーカーさんが「これで生活保護が通らなかったら職務怠慢です」と言うシーンがあったけど、それがなんだかフラグに思えてしまって、こんな状況なのに申請が通らなくて、一家心中するのかなって思ったら、その前で一家心中をする展開になるとは全く思っていなくて。
父親が「死のうと思ってるけど、お前はどうするか!と聞いたところで、ずるい人だなって思ってしまった。
道中でも、をやっぱり死ぬのは明日にしようか」なんて言うところもずるい人だなって思ってしまった。
思ってたんだけど…
主人公が10年も仕事していなくて、それを素直に「すぐに仕事復帰できますね」って言うのもすごく怖くて。
30代ですら仕事探すの大変なのに、40代かな?50代かな?で、事務ってなったらもっと大変だろうし。
父親も「手術して良くなったらまた新聞配達の仕事に戻りたいーって所長さんに言うけど、所長さんが、やんわりとした返事をしていて。
そこを不安に思った父親が改めて言うけど、「気持ちはわかってます」と言うだけで「はい」って答えない所長さん。
そりゃそうだよね。事故って転んだとかではなくて、高齢で、病的な問題で転んでしまってるわけで。
手術して良くなったらまた確実に復帰できると言うわけでもないし、復帰してもらっても、いつ亡くなってもおかしくない年齢だし、そんな人を雇うなんて、よっぽど余裕がないと難しいわけで。
でも家庭環境もわかってるから、無下にすることもできなくて、それを主人公も父親もなんとなくわかっていて、それでもケースワーカーさんには「働きます。」としか言えなくて。
映画にはなかったけど、生活保護の申請をするときに財布の中身まで見せて、1円単位で細かく資産を申請しないといけなくて、それもすごくしんどくて。
お金がないってすごく惨めな感じがするけど、それを自分よりも若い人に、親族にも、もしかしたらご近所さんに伝わるかもしれなくて。
本当は権利なのに、遊んで暮らしたい人だとか、仕事ができない、いわゆる社会不適合者って言われてしまう人が受けるみたいな風潮になってるせいで、主人公も苦しんでしまっていて。
それで父親は一家心中を提案するんだと思うんだけど。
勉強していれば介護を一人で全てやらなくてもいいっていうのは学べるはずだけど、私はそれを生命保険会社に勤めて知識を得たけど、一般に生活をしていて、その知識を得られるのかがわからないし、病院が親切だったら教えてくれるかもしれないけど、お金を理由にサービスを受けていないかもしれないし、もしくは知らなくてサービスを受けていないのか、どちらにしてもしんどいなぁと思って見ていたんだけど…
働かないのを「逃げ」って思ってしまう風潮も怖いし苦手だし、主人公が家族、姉にすら本音を言えていない描写も多かったと思う。
もしくは自分の性格だったり、特性から言える立場にないとか考えてたのかもしれない。
恋人がいるような描写もないし、姉は妊娠して出産もして子供を育てているけど、自分はそんなパートナーもいなければ、ただひたすらに介護しかしてなかったりとかて言う引け目もあっただろうし。
姉に敬語で「お米ありがとうございます。」って話してるのもしんどかった。
その電話の最中に、中学生の子供と自分の姉が話しているのを聞くと、すごい惨めというか、「一般の普通の人間だったら、結婚してこれぐらいの子供がいるのだろうと想定されている。」という感覚も自分の社会不適合感を覚えると思うし。
実際に川に入る場所って買い物途中で眺めてる場所だったから、フラグも立ってて、すごく不穏な感じで見てしまっていました。
ケースワーカーさんも若い感じの担当さんだったから、こんなことがあってめちゃくちゃトラウマになってしまうだろうなぁと思ったし、実際にそういう描写もあって、市役所で働いた事はないけど、すごくリアルだなと思ってしまった。
面会のときも、姉が涙ながらに謝罪しているのに、他人行儀で「申し訳ありません」って言ってるところも、姉が主人公の表情に気がついていないのも、ただただしんどかった。
人間って所詮エゴなのよ。
そんな中でも最後のほうで主人公がケースワーカーさんに本音を言えていてよかったし、父親が主人公が働けないというか、そういう気持ちなのを一緒に暮らしてない期間があったにもかかわらず、汲み取っていたのは予想外だったし、すごく驚きで。
最後に主人公が更正施設に行くシーンがあるけど、そこで、私は主人公がプレッシャーになるんじゃないか、とかそういう不安があったけど最後は笑顔だったのがすごく安心できるエンドでよかったなと思います。
トークショーでケースワーカーさんがお話をしていたけれど、日本では支援が必要な人のところに支援が届かないケースが多分すごく多くて私もそれを実感している一人で。
私はネットサーフィンが好きだったり、パソコンの知識もそれなりにあるから、いわゆる情報弱者的なところにはなっていない…孤独ってほど孤独ではない…と自分では思ってるけど、多分それでも知らない制度とかがあったりするだろうし、知っている人じゃないと損してしまう世の中が、本当に不便だと思う。
トークショーでも話が出ていて、頷く内容だったのが、「政治的な話につながってしまうけど、必要な人のところに届かない」って。
本当にサポートされるべきところに税金を使ってほしいなと思うし、申請スタイルではなくて、行政の方から提案してくれたりだとか、自動的にその対象になったら勝手に申請されて受理されているだとか、そういうサービスになってないといけないと思う。
私はチームみらいのサポーターだからつい肩入れしてしまうけれど、チームみらいでそういう話が出ているので本当に実現してほしいなって思います。
パンフレットを購入してこの映画が実話を元に作られていると書いてあるのを見たけど、きっと大きいニュースになってないだけでこういう話は本当にたくさんあって、介護もそうだし、育児もそうだし、生活保護そうだけど、適切な支援を受けられなかったり間に合わなかったりして亡くなってしまった、っていう話、ネットを探せばたくさん出てくるし。
一時的なものだとしても、苦しいを助けてもらうための生活保護であって、恥ずかしいものではないし、誰かが言っていたけど「そうなったときのために、私たちは今納税しているんだから、何も恥ずかしいことではない。自分がもしそうなったときに何の後ろめたさもなく、申請できるように納税している」と言っている人もいたので、本当にそうであってほしい、そういう人のために受給者自身でイメージを悪くしないでほしいと強く願ってしまう映画でした。
